赤坂もご多分にもれず、このところ一軒また一軒と、料亭が姿を消していますが、すでに全国的な名声を得た、それぞれの和菓子屋の屋台骨は、そう簡単に揺らぐものではありません。

例えばこの、昭和22年創業という赤坂の塩野。
変わらぬ繁盛を続けていますが、いま実際に需要を支えているのは、圧倒的に一般のお客様です。

小豆を煮て皮とアクを取り去り、よくさらしてから、ざらめで炊き上げ、さらに氷砂糖を加えて練り上げます。
そのため砂糖や小豆の癖がなく、上品に仕上がっています。

なめらかなあんに、少しずつ赤穂の焼き塩を加えるのが、そのバランスが素晴らしいと、甘党に喜ばれています。

しかし一方にこれを肴にして酒を飲む辛党がいます。
なんと塩乃羊羹は、酒とともに味わえる珍しい羊羹なのです。
色は品のいい薄墨色です。

また、塩野の上生菓子は趣向にすぐれ、美しい。
四季の彩り豊かな20数種類の上生菓子は慶弔菓子として、重宝されています。
手土産としてもベストです。

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